東日本大震災の巨大津波で海に押し流された家屋やタイヤなどのがれきが、
1年後にハワイ諸島に漂着することが、米ハワイ大学を拠点とする
日米共同研究機関、国際太平洋研究センターの予測でわかりました。
海流や過去に設置した観測用ブイの動きなどをもとにコンピューターで予測。
その結果、がれきは太平洋北西部に広がった後、東へ進み、
一部がハワイ諸島の海岸に打ち上げられることが判明しました。
2014年3月にはカナダ・バンクーバー付近から米西海岸に漂着するそうです。
大半はカリフォルニア沖の海流に乗って向きを変え、
16年春ごろ、再びハワイ周辺に達するとの事。
同センターは「ハワイには来年より5年後の方が、多くのがれきが流れ着くだろう」
と分析しています。
また、沖合を漂流している実態を把握しようと、ハワイで日本とアメリカの研究者が、
がれきの漂流経路や環境への影響などについて、それぞれ調査に乗り出しました。
環境省の推計によりますと、震災で発生したがれきは東北3県で
およそ2490万トンに上り、大量のがれきが津波によって海に流され、
今も太平洋を漂流しているとみられています。
その実態を把握しようと、ハワイ大学国際太平洋研究センターの
ニコライ・マクシメンコ教授は、太平洋全域の数百か所で計測している海流の速度や
方向などの情報を基に、がれきの漂流経路について分析を進めています。
それによりますと、がれきは現在、ハワイの北西2000キロに位置する
ミッドウェー諸島の東、数百キロを漂流しているものとみられ、
早ければ来年春ごろ一部がハワイにも流れ着く可能性があるということです。
マクシメンコ教授は「がれきの漂流経路を把握して、船舶の安全や海の生態系の
保護に努めていくことが大切だ」と話しています。
一方、海の漂流ゴミの研究が専門の鹿児島大学の藤枝繁教授も
先週ハワイで調査を開始し、9日にはオアフ島で浜に散乱した大量のごみ
の内容を調べました。
今回の調査では、震災による漂着物はまだ確認されませんでしたが、
今後、がれきだけでなく、プラスチック類や漁網などが大量に漂着する可能性がある
ということで、藤枝教授は「漂流物を洋上で回収するのは難しく、
太平洋の島々の環境に影響が出る可能性が高い」と話しています。
マクシメンコ教授と藤枝教授は、今後もそれぞれ調査を継続するとともに、
お互いに情報を交換していきたいとしています。