中央防災会議の想定では、上町断層帯地震の規模は阪神大震災を上回る
マグニチュード7・6。被害は死者総数4万2000人で首都直下型地震
(全壊・焼失85万棟、死者1万3000人)の約3・5倍。
今後30年以内の地震発生確率2~3%は、国内の主な活断層の中では高い部類に入る。
阪神大震災を引き起こした野島断層の震災発生直前における30年間の発生確率は
0・4~8%だったことからも、その高さがうかがえる。
8割は建物倒壊による窒息
大阪市危機管理室の被害想定によると、上町断層帯地震が起こった場合、
大阪市内の建物のほぼ55%が全半壊する-としている。
1995(平成7)年の阪神大震災の死者・行方不明者は6434人。
死亡原因の80%を占めたのが「建物倒壊による窒息など」だ。
倒壊した住宅の多くは81年、建築基準法の耐震基準が大幅に改正される以前の
古い木造家屋だった。
大阪市も、災害に備えて被害を少しでも食い止めるべく、
住宅の耐震診断・改修補助制度を設けている。
被害を大きくした液状化現象
阪神大震災で建物被害を大きくしたのが液状化現象だった。
この現象は、一定のバランスを保つ地下水が強い地震を受けることで、
砂と砂のすき間にある水を押し出そうとする動き。
この際、砂の粒子は水の中に浮いた状態となり、押し出された水と砂が共に
地表にあふれ出してしまう。
大阪市では海岸部に近い此花、港、大正、住之江の各区は液状化予測が
「極めて発生しやすい」と指摘されている。その一方で、大阪城付近から
南へ連なる上町台地は自然地形では最も標高が高いとされるヒルトップ
付近のため液状化が「極めて発生しにくい」と予測されている=下図参照。