去年3月の大津波を受けて、気象庁は、発生直後の地震の規模を過小評価しないよう、
ゆっくりとした周期の揺れ、「長周期地震動」の大きさから巨大地震かどうかを判定する
新たなシステムを導入し、津波の警報発表の判断に活用していくことになりました。
気象庁は去年3月、マグニチュード9.0の巨大地震の直後に、
地震の規模をマグニチュード7.9と推計したことから、津波の高さの予想が実際を大きく下回る
結果につながりました。
日本の近海で起きる地震と津波に対応するために、警報は3分程度で発表する必要がありますが、
マグニチュード8を超える巨大地震の場合、短時間のうちに正確な規模を計算することはできません。
このため気象庁は、地震のゆっくりとした周期の揺れ「長周期地震動」の大きさから、
巨大地震かどうか短時間で判定するシステムを開発し、試験的に導入しました。
このシステムは、各地で観測される地震の揺れの中から、巨大地震特有の周期100秒から
500秒という非常にゆっくりした揺れを抽出して監視できるようにします。
平成15年に起きたマグニチュード8.0の「十勝沖地震」の際の揺れの大きさと
比較することで、マグニチュード8を超える巨大地震かどうか、3分程度で判定することにしていて、
精度を検証したうえで、新年度以降、本格的に警報発表の判断に活用する方針です。
気象庁気象研究所の吉田康宏主任研究官は、
「最初の警報の内容で避難を判断する人が多いので、地震や津波の規模を
過小評価しないようにしていきたい」
と話しています。