駿河湾から日向灘にかけての海底で起きる巨大地震について、
内閣府の有識者検討会が、予想し得る最大の震度と津波の推計値を公表しました。
震度7の地域は10県153市町村に及び、2003年の前回推計に比べ
面積は約20倍になりました。
最大の津波の高さは、高知県黒潮町の34・4メートルを筆頭に、
関東から四国の太平洋側6都県23市町村で20メートル以上に達します。
17メートルが最大だった前回推計より深刻となってしまってます。
これほどの地震は、「800年以上に1回程度」とされます。
頻度は低いが、発生すれば、すさまじい揺れと津波が襲来する見込み。
沿岸自治体からは、「対策の取りようがない」とも思えますが、
東日本大震災を思えば無策であってはならないと思います。
推計値は、「南海トラフ」と呼ばれる海底の溝に沿って広く地層が動く
マグニチュード(M)9・0の地震を前提にまとめたそうです。
東日本大震災の震源域が、事前の想定より遥かに広く、
規模が国内最大のM9級だったことを踏まえています。
強い揺れや大津波が想定される範囲には、産業拠点や人口密集地も多く、
適切な対策を打たなければ、被害は甚大となってしまいます。
巨大地震・津波の防災対策として、中央防災会議の専門調査会は昨年9月、
2段階の対応を提言しました。最大級の津波は避難するしかありません。
従来想定していたような津波については防波堤などで被害を防ぐようです。
最優先すべきなのは、避難対策だろう。迅速に安全を確保できるよう、
あらかじめ避難場所やルートを整備しておき、防災教育や訓練などで徹底して周知する。
ただ、推計値によれば、静岡と和歌山、高知の3県には、地震発生から
たった2分で、津波が到達する地域があるといいます。
揺れが収まる前に避難する必要があるが、現実的ではありません。
減災のためには、長期的に、集落の高台移転など抜本的な対策を検討しなければなりません。
こうした対策は関係市町村だけでは、予算などの制約で実現が難しいようです。
政府は、必要な支援策、制度の検討を急ぐべきとも思えます。
南海トラフの地震とは別に、首都直下地震についても文部科学省が先週、
予測震度を公表しました。
震度7が東京都内で予想され、震度6強の地域も広範にわたる。
木造住宅密集地の火災、倒壊対策などが急務です。