過去の台風事例から事前対策のポイントをとりまとめました。
台風に備えて、次のようなポイントついて再点検してみてはいかがでしょう。
対策ポイント1【テント倉庫・スレート屋根、外壁】
テントハウスの倒壊事例が多くみられます。風に対する強度の低いテントハウス内に
水ぬれにより損傷するおそれのある商品・原材料等が収容されている場合、
テントハウスが風により損傷するとテントハウスそのものの損害よりも、
収容されている商品・原材料の損害が大きくなります。
一方、スレート屋根、スレート壁の損傷も多く発生しています。
スレート材は、吸水率の関係で、使用年数とともに強度が変化します。
15年間屋根に使用されていたスレート材の強度が建設当初の40%程度に低下していた例も
報告されています。また、取付け用フックボトルの腐食や脱落によるスレート材のゆるみ、
取付け強度不足も問題となっています。
水ぬれを嫌う商品・原材料は、テントハウス等の仮設収納場所や、建築後長期間が経過し
所定の耐風強度が得られないおそれのある建物に収容されている場合、
強度のしっかりした建物内に移設したり、建物の補強、修理などの事前対策を
実施しておくことが望まれます。
対策ポイント2【飛散事故による二次災害防止】
建物や設備の一部分の飛散事故は、老朽化あるいは取付けのゆるくなった建物部位、
ルーフファン、煙突などの設備・設置などで多く発生しています。
飛散事故は、飛散建物・設備そのものの損害だけでなく、飛散物の衝突による、
スレート壁やガラス窓の破損など、二次災害の発生につながります。
飛散を防止し、二次災害を発生させないよう、腐食したり、取付けの十分でない
設備・装置については、日頃から点検を励行し、事前に補修、補強などの対策を
実施しておくことが望まれます。
対策ポイント3【ガラスの破損損害】
ガラスの破損損害は、風圧力によるものと、飛来物によるものとに分類されます。
コンピュータや電気機器など、水にぬれてはならない設備を収納する建物外壁に
取付けられたガラスについては、合わせガラスや網入ガラスの採用、
飛散防止フィルムの貼付けなどの飛来物による破損防止装置を実施するとともに、
万一破損して雨水が侵入した場合に備えて、ビニールシートを用意するなどの
対策を講じておくことが望まれます。ガラスは、風圧に対しては十分の
強度をもっていても、飛来物の衝突による衝撃に対しては弱いと言われています。
対策ポイント4【電気設備の塩害】
電気設備には、直接海水がかかり汚損する危険にほかに、台風によって
吹き上げられた海塩粒子付着による塩害事故の危険があります。
塩害による事故には二通りあり、台風襲来中に発生するものと、
台風通過後発生する後続塩害による電気的事故とがあります。
一般企業のなかにも、後続塩害により構内の受電設備が損傷し、
台風通過後に停電しているところがあります。電気設備の塩害対策としては、
設備の密閉化や絶縁強化などがありますが、台風情報から塩害のおそれが
予想される際には、台風襲来前に、それまでに碍子に累積された塩分を洗浄除去し、
碍子表面を清浄にしておく緊急塩害対策を実施することが望まれます。
対策ポイント5【シャッター】
シャッターについても、今回の台風でかなりの被害が発生しています。
シャッターの被害の多くは、風によりシャッターが飛散あるいはめくれ上がったものですが、
これは、シャッターがガイドレールにしっかりと固定されていなかったり、
シャッターのたわみが大きくなり、ガイドレールから抜け出したことによるものです。
台風襲来前に、ガイドレールの変形、中柱の固定措置などについて点検し、
抜け出しやすくなっている場合には、事前に修理しておくことが望まれます。
また、シャッターの裏側にチェーンやポール類を施し、大きな風圧がかかった場合でも、
一定以下のたわみ量に抑えてやることで、抜け出し被害を防止することが可能です。