山の斜面が赤茶けた地肌をさらし、流れ下った濁流が、住宅を跡形もなく押し流してます。
台風12号が紀伊半島に甚大な被害をもたらしました。
和歌山県、奈良県を中心に、死者と行方不明者は90人に達してます。
各地で土砂が崩れ、川があふれ、道路が寸断され、
被害の全容についてはまだ掴みきれてません。
現地では懸命の捜索、救助活動が続いています。政府が非常災害対策本部を設けました。
人命の救助に全力を挙げてもらいたい所です。
被害が広がった原因は、記録的な大雨。いくつかの不運な条件が重なってしまいました。
台風は「自転車並み」のゆっくりとした速度で、西日本をほぼまっすぐ北上。
本体の雨雲に加えて、台風に向かう南からの湿った風が同じような場所に流れ込み続けました。
紀伊半島の南東側に開けた山の斜面が、雨雲が発達する要因となってしまったようです。
奈良、三重、和歌山3県の計7地点で、72時間雨量が1000ミリを超える豪雨。
1652ミリに達した奈良県上北山村では、年間の総雨量の6割以上が
たった3日間で降った格好になります。これでは地盤が持ちこたえられるはずありません。
山間部の渓流に豪雨が降ると、土砂や水の逃げ場は限られます。
今回、崩れた土砂が川の流れを変えたり、せきとめたりして、あふれた水が集落を直撃。
険しい山間地の多い長野県も、ひとごとではありません。
3月の東日本大震災は、自然の猛威には人間の力が及ばないことを知らしめました。
災害から人命や財産をどう守るか。今回も重い課題が突きつけられています。
雨の降り方が最近、変わりつつあります。短時間に集中して降る「ゲリラ豪雨」に加えて、
台風が接近するときなどは、激しい雨が何日も同じ地域に降り続き
紀伊半島の複数の地点で、台風12号による雨量が観測史上最多を更新した。
経験則を超える事態が起きているのは間違いありません。。
気象情報に注意し、いち早く安全な場所に逃げること。“空振り”を恐れないことも大事
ではないでしょうか。
気象庁の情報提供のあり方、自治体による避難の指示や勧告は、適切だったのか。
高齢者や障害者への目配りに課題はなかったか。後日検証し、教訓を共有していき
今後に生かすべきだと思います。
私たち住民の側も、自主避難を判断できるようにして、自分の住んでいる地域が、
土砂災害の警戒区域や洪水が想定される区域に指定されていないか?
最寄りの避難場所はどこか等、あらかじめ確認しておく必要があるのではないでしょうか。