文献に記された最古の南海地震「白鳳地震」(684年)と同じころ、
記録にはない東海地震が発生したことを示す津波堆積物を
産業技術総合研究所(茨城県つくば市)の藤原治主任研究員らが
静岡県で確認したことが分かりました。
同時期の津波堆積物は東南海地震のエリアでも見つかっており、
3地震がほぼ同時に起きたことが確実になりました。
時間差なく発生した3連動地震の可能性もあります。
西日本全域に甚大な被害を与える南海トラフでの3連動地震は、
これまで宝永地震(1707年)が確認されているだけだでした。
「白鳳東海地震」を初めて立証する貴重な発見で、同時か時間差かは断定できないが、
震源域は南海トラフ全域に及んだはずで、今後は当時の地形を復元し、
津波の遡上高を調べたいとしています。
調査したのは、静岡県磐田市の太田川河口から約2.5キロの元島遺跡と、
さらに500メートル上流の河川改修工事現場。
研究員らは、両地点で深さ約5メートルの地層に4つの砂層があるのを確認。
海から運ばれた貝の化石や鉱物を含み、堆積構造が海から陸へ流れ込んだ
状況を示していることから、洪水ではなく津波と判断しました。
4つの砂層の年代は、炭素同位体による年代測定で7世紀後半、9世紀後半、
11世紀後半、15世紀後半と判明。南海トラフを震源域とする白鳳南海地震、
仁和南海地震(887年)、永長東海・東南海地震(1096年)、
明応南海地震(1498年)と一致しました。
仁和南海地震も、同時期の東海地震を示す文献は見つかっていませんでした。
白鳳時代の津波堆積物は三重、高知、大分の各県で確認されており、
四国と九州では宝永地震に匹敵する規模だったと判明。
東南海、南海の2地震が連動した可能性が指摘されていました。