日本地震学会の全国大会が、16日から4日間、函館市で開かれております。
東日本大震災が起こる前、日本の地震学は
「マグニチュード(M)9クラスの巨大地震は日本では起きない」
という通説にとらわれていたようです。
学会はそれを見直し、今年、意見集をまとめました。その後初の大会となります。
国が膨大な予算と人材をつぎ込みながらも実現していない「地震予知」に対する批判に
どう答えるのか?地震や津波発生のメカニズムなど最新の研究発表とともに注目したい所です。
日本ではこれまで、研究成果を実際の防災や避難に役立てようとする視点が十分では有りませんでした。
地震をいかに速く察知できるようになっても、住民に伝え、安全に避難させるまでの
一連の流れが機能しなければ、意味がありません。
地震学だけでなく、防災にかかわる研究者があまねく教訓を突きつけられています。
大震災では、函館も津波の被害を受けました。
そして今度は、活断層が懸念される対岸の大間原発(青森県)の建設再開。。。 函館を含め道内の沿岸部で暮らす人々に不安を抱かせている想定災害に、500年間隔地震があります。
周期が400~500年で、前回は1600年代初頭とされるから、
次がいつ来てもおかしくない時期である事は間違いなさそうです。
とはいえ、政府の有識者検討会と地震調査委員会は南海トラフ3連動地震の想定に
専ら力を注いできています。道内だけでなく、東北北部、日本海側などとは被害想定においても、
対策面でも大きな落差が生じています。
大震災後、防災の認識や技術も根底から見直しを迫られました。
道路が液状化したり、橋が崩落したりすれば、徒歩や車での避難が困難になります。
巨大堤防による津波対策に限界があることは、大震災が証明してみせました。
高層建築の揺れの想定にも疑問符が付きました。
道内には安全な避難所が近くになく、道路に頼る避難が不可避な地域が少なくない。
液状化や橋の落下は命にかかわるだけに対策は急務となります。
都道府県や市町村にとっては、防災や津波避難の計画を立てる上で地震学、
津波工学の専門家からのアドバイスが重要性を増しています。
そうした現状を踏まえ、地震学の方途を総合的に、じっくり討議してもらいたいです。