昭和21年に起きた「昭和南海地震」で被災した高知県沿岸で、
地震発生の4時間前に前兆現象とみられる小刻みの波が確認されていたことが17日、分かりました。
この波は江戸時代の文献に「鈴波」と記録され、「津波のさきがけ」との記述もあったといいます。
東海沖から九州沖の南海トラフで想定される巨大地震対策に役立つ可能性があるとの事。
同県土佐市の自主防災連合会長、中村不二夫さん(69)が、南海地震を経験した
約400人から聞き取り調査し、北海道函館市で開催中の日本地震学会で発表しました。
中村さんによると、地震発生の4時間前、土佐市沖に漁に出ていた男性が
「船の横を一斉にピチャピチャとたたく、経験したことのない波に遭遇した」と証言。
約50キロ離れた同県四万十市でも、ほぼ同じ時間帯に同様の波を体験したとの証言を得たといいます。
また、中村さんが過去の文献などを調べたところ、幕末に起きた安政南海地震(1854年)に
ついて記した「真覚寺日記」や、太平洋沿岸の地震に関する石碑に
証言と似た波に関する記述がありました。
過去の記録では、この波を「鈴波」として紹介し、真覚寺日記では鈴波について
「津波のさきがけ」とも記載。中村さんは「特徴的な前兆現象だ」としています。
南海地震の前兆現象としては、地震発生11時間前に高知、徳島両県の計17カ所で
大規模な退潮が発生したほか、1週間前には井戸枯れなどがあったことも確認されています。
今後発生が予想される巨大地震では、土佐市で最大24メートルの津波が想定されており、
かつて住民が経験した前兆現象を過去の記録から学ぶことも有効な手段だとしています。