東京都は14日、南海トラフを震源とするマグニチュード(M)9級の
巨大地震が起きた場合の都内の被害想定を公表しました。
震度6弱の地域もあり、東京湾沿岸で2メートル超の津波を想定。
島しょ部では最大約1800人の死者を推計しました。
各自治体は防災対策の見直しなどの対応に急がれると思われます。
内閣府が昨年8月に公表した震度分布や津波高で被害が最も大きなケースを選び、分析されました。
内閣府が示した都内の最大震度は5強でしたが、
都は12区市町村で震度6弱の地域がでると想定。
ただ範囲は狭く、液状化の危険性が高い地域の面積も
計9.2平方キロメートルにとどまりました。
水門が開放されている場合、浸水地域が広くなり、沿岸部の最大津波は
品川区の2.34メートルで、江東、中央、港、大田区でも2メートル超。
水門が閉じていれば津波の高さは江東区で最大2.48メートルなどやや高くなりますが、
東京湾の防潮堤の高さは3.5メートル以上あり、河川敷の若干の浸水で済むと思われます。
いずれのケースも死者など人的被害はゼロとしております。
一方、島しょ部では新島(新島村)で最大30.16メートル、
神津島(神津島村)で同28.43メートルを想定。
冬の深夜の地震発生で10分以内に避難を始める人が2割の場合、
津波による死者は最大1764人になると想定されております。
島別では新島の死者数が約7割の1297人で、神津島(265人)、
小笠原村の父島(86人)と続きました。
江東区は5月1日、都営住宅の廊下などを緊急避難場所とする覚書を都と結びました。
これまでも企業やマンションを一時避難先とする協定を結び、
約7万3千人分を用意していましたが、覚書で約4万5千人分を増やしました。
隅田川河口に近い永代一丁目町会の会長は
「最寄りの避難先は川の向こうで不安だった。避難場所の見直しを今後も進めてほしい」
と話したそうです。
品川区は昨年度から12カ所で説明会を開き、住民に避難マップ作りを呼びかけています。
東品川地区での説明会では住民約110人が高台まで避難。
「古い家屋が倒れる可能性がある」などと危険箇所を地図に書きながら歩きまし。
区は避難の参考にするため、沿岸部や川沿いの計633カ所に海抜標示板も設けました。
最大1.77メートルの津波が想定される江戸川区の担当者は
「地震で地盤沈下や堤防の緩みが起きた後、台風や大雨が来る『複合災害』が心配」と話します。
同区は7割が満潮時に海抜ゼロメートル以下で、複合災害が起きればほぼ全域が水没の恐れもあります。
区外への避難のため、臨時のバス運行や高速道路を歩行者に開放する案も浮上。
いずれも区単独では対策は難しく、都や国ぐるみの広域対策が必要とも訴えています。
東日本大震災時にも、都内では津波の被害は大きくなかったものの
揺れによる液状化の被害が各地で見受けられたりもしていました。
地震による対策、起きる前にしっかりとしておきたいものですね。